よくあるご質問
「自分が所有している家について、自分が他界した場合には誰も住む人がいないので、売却して子ども達に現金で分けてあげたい。」
このような希望があった場合、生前にどんな準備をしておけば良いでしょうか。
自身の持つ財産について、自身の死後にその意思を反映させるためには、遺言書を残しておく必要があります。この遺言書は、いわゆる遺書とは異なり、法律で定められた方式で作成されたものでなければ法的効果を生じません。
法律で定められた遺言の方式としては、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言などがあります。
では、冒頭にあるような希望を叶えるためには、どのような内容の遺言を作成すべきでしょうか。
故人の不動産を売却処分したうえで、売却代金から諸費用を引いた残金を、法定相続人に相続させようとする内容の遺言は、「清算型の遺言」
と呼ばれています。今回のケースでは、この「清算型の遺言」を作成しておく必要があります。
例えば、次のような一文を遺言に入れておきます。
「第○条 遺言者は、その所有する下記の不動産を換価処分し、その換価代金で、不動産の売却に伴う諸費用及び遺言執行に要する一切の費用を
弁済した後の残金を、法定相続人に按分して相続させる。
(不動産の表示 省略)」
また、「清算型の遺言」には、一般的に、当該遺言の内容を実現してくれる遺言執行者を定めておきます。そして、遺言を残した人の死後、この遺言執行者が相続不動産の売却手続やそれに伴う登記手続を行い、売却代金を相続人に分けていくことになるのです。
では、どんな人を遺言執行者として定めておくとよいでしょうか。
法律上、未成年者や破産者でなければ、どんな人でも遺言執行者になることができます。ですが、遺言執行者が遺言を残した人の財産の処分に関わることを考慮すると、相続の手続きをスムーズに行うためには、利害関係者ではなく、かつ相続に関する法律知識のある専門家が遺言執行者になることが望ましいといえるでしょう。弁護士や司法書士に遺言の作成を依頼し、そのままその専門家を遺言執行者に指定するという方法は、とても賢い選択だといえるでしょう。