相続人の調査①
~戸籍の基礎知識~
相続人の調査の前に、そもそも戸籍って何?のところから始めましょう。
戸籍って何?
戸籍とは、個人の一生(出生から死亡まで)の記録です。本籍地、名前、生年月日のほかに、父母の名前、続柄(長男とか長女とか)や、出生地として〇〇市、××区なんてことが載っています。現在の戸籍は「一組の夫婦と氏を同じくする子」を一つの単位として作られています。子供が生まれたら、親の戸籍に入ります。子供が大きくなって、誰かと結婚したら、親の戸籍から出て新しく、一組の夫婦としての戸籍が作られます。そして二人に子供が生まれ、大きくなり・・・これを繰り返していきます。
戸籍の種類
実は、戸籍には現在戸籍、除籍、改製原戸籍の3種類があります。
現在戸籍とは字の如く、「現に在籍している者がいて、使用されている」戸籍のことです。
除籍には意味が2つあります。1つ目は現在戸籍の中で、その戸籍から除かれた人のことを、もう一つは戸籍の在籍者が誰もいなくなった場合です。この場合、その戸籍は閉じられることとなり、除籍簿に保管されます。
では、改製原戸籍とは何でしょうか?これは法律や命令で戸籍の様式が変更になる際の、変更前の戸籍が改制の原(元)の戸籍のことです。戸籍は時代ごとに様式を変えていきます。昭和以前の戸籍などは手書きで達筆、読むのに苦労することもあります。
戸籍の取得って大変?
これは「はい」でもあり「いいえ」でもあります。なぜなら、被相続人が生まれてから死ぬまでの戸籍を一つの役所で全て集められる場合は、「いいえ」と感じますが、何箇所も集めなければいけない場合は「はい」だからです。一箇所で済む場合と複数個所が必要な場合とでは、何が違うのでしょうか。これは、本籍地が変わったかどうかの違いです。引越しの度に本籍地を変更された方や、趣味で変更された方は、その都度新しい戸籍が作られ、古い戸籍は除籍となります。本籍地は自由に定めることができるため、極端な話、10回引っ越したけれど本籍地の変更をしなかった人の場合は1箇所で、一度も引っ越したことは無いけれど本籍を10回変更した人の場合は10箇所の役所で戸籍を取得しなければなりません。
さらに、戸籍は「遡って取るもの」です。1~10までの戸籍を取得しようと思ったら、まず10(最後)の戸籍を取得します。各戸籍には、一つ前の本籍地が記載されているため、順次9→8→7・・・と遡って取ります。ですが戸籍には全部で何通なのかなんて書いてありません。出生に辿り着くまで、わからないのです。そのことからも、大変と言えるのではないでしょうか。
このように、普段目にする機会の少ない戸籍ですが、次回、相続人の調査では大活躍します。