自筆証書遺言を法務局に保管したときの通知制度について
自筆証書遺言については、法務局に保管できる制度が開始されていることは、ご存知の方が多いかと思います。
※法務局保管制度についての詳細説明は以前の相続ノート「自筆証書遺言に関する改正②法務局保管制度」にてご確認ください。
ただし、この法務局保管制度を利用した遺言者が亡くなっても、法務局に遺言書を預けていることを誰にも伝えていない場合等には、遺言者の死亡後、相続人や受遺者、遺言執行者(以下合わせて「関係相続人等」といいます)は、遺言書が法務局に保管されていることに気付けない可能性があります。そこで一定の条件の下、法務局から関係相続人等や遺言者の指定する者へ、遺言書を保管していることを通知(お知らせ)することで、相続手続き(遺言執行手続き)を促すこととされています。
今回の相続ノートでは、この通知制度についてご説明いたします。
【1】遺言者が指定した方への通知(指定者通知)
遺言者の死亡届を受け付けた市区町村が、法務局に死亡した旨を通知し、あらかじめ遺言者が指定した者に、法務局が、遺言書が保管されている旨を通知するものです。
この指定者通知は、遺言者が生前に設定して法務局に届け出るものであり、設定するかどうかは、遺言者の任意の選択によります。また、指定者には、最大3名まで登録することができ、どなたを指定することもできます。
※これまでは関係相続人等(相続人や受遺者、遺言執行者)の中から1名のみ指定可能でしたが、令和5年10月2日より、3名まで拡大され、更に関係相続人等以外への者(たとえば友人・知人など)への通知もできるようになりました。
【2】遺言書を保管している旨の通知(関係遺言書保管通知)
遺言者死亡後、関係相続人等が、遺言書の閲覧や、遺言書情報証明書の交付を受けたとき、その他のすべての関係相続人等に対して、法務局が、遺言書が法務局に保管されていることをお知らせするものです。
※遺言書情報証明書とは、遺言者の氏名、生年月日、住所及び本籍(又は国籍等)に加え、目録を含む遺言書の画像情報が表示されるものであり、遺言書の内容の証明書となるものです。遺言書原本の代わりとして各種手続きに使用されるものです。この遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧をする際には、法定相続人全員を確認できる、遺言書の出生から死亡までのすべての戸籍謄本や、相続人全員の戸籍・住民票等を提出する必要があります。
これら2つの通知制度によって、関係相続人等に、遺言書があることを知らせ、遺言書の閲覧や、遺言書情報証明書の取得をしてもらう機会を作る仕組みとなっています。
ここまで、自筆証書遺言を法務局に保管したときの通知制度についてお伝えいたしましたが、実際に法務局に保管されている自筆証書遺言で手続きを進めていく際には、上述のとおり、遺言書の閲覧や、遺言書情報証明書の交付を受ける段階で、法務局が関係相続人等へ通知をするための戸籍収集等が必要になり、それらすべての戸籍を集めるには、労力と手間がかかります。
弊社パートナーズでは、戸籍収集(法定相続情報一覧図の作成)はもちろんのこと、遺言書に基づいた不動産の名義変更・預金解約等も含め、各種相続手続きを承っております。
自筆証書遺言を法務局に保管していた遺言者(ご家族)が亡くなり、これから遺言書情報証明書の交付請求をしたい方、法務局から通知が届いたけれど、どうしたらよいか分からない方など、まずはご連絡をいただき、無料相談をご利用の上、ご相談いただければと存じます。