令和7年10月1日から、公正証書の作成手続がデジタル化されました!
従来、遺言公正証書や任意後見契約書をはじめとする公正証書の作成手続では、当事者が公証役場に来所して、印鑑証明書等の書面の提示により本人確認がなされたうえで嘱託し、公証人と対面して作成されることとされていました。また、公正証書の「原本」は紙で作成され、それに当事者が署名押印したうえで、紙の状態で公証役場で保管されていました。全国の公証役場の保管庫には、想像できないほど大量の公正証書の原本(=紙)が保管されているものと思われます。
この従来の作成手続について、民事関係手続等における情報通信技術の活用等を推進する法律が成立したこと、そしてコロナ禍を経てリモート対応の需要が急速に高まったことなどからも時代の流れに沿った制度改正が求められるようになり、利用者の利便性の向上(場所や時間を選ばない、コスト削減)、公証役場の業務効率化(保管コスト削減、管理負担軽減)、さらには安全性の向上(改ざん・紛失リスク軽減)の観点から、公正証書の作成手続がデジタル化されることとなりました。
では、デジタル化された作成手続はどのように変わったのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
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①公証役場に対しメールを利用した公正証書作成の嘱託が可能に!
電子データ(嘱託情報)に電子署名、電子証明書を付し、インターネットからメールで送信して電子的に本人確認がなされたうえで嘱託することが可能となりました。
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②ウェブ会議の利用が可能に!
公証役場の外からウェブ会議(リモート方式)を利用して公正証書を作成してもらうことが可能となりました。この場合、公証人はウェブ会議を通じて公正証書の内容確認等を行うこととなります。
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③公正証書は電子データでの作成が原則に!
公正証書は原則として電子データで作成・保存されることとなり、嘱託人や公証人は当該電子データに電子サイン(電子ペンでパソコンのディスプレイ等に手書きするもの)を行うこととなりました。
このように、公正証書の作成手続がデジタル化されたことにより、公証役場に来所することなく公正証書が作成できる制度が始まったわけです。
ただし、上記①②の手続を利用するには、ウェブ会議に参加可能なパソコン(スマートフォンやタブレットは使用不可)や、電子サインを行うために必要な機器(タッチ入力可能なディスプレイ又はペンタブレット+電子ペン)を自分でも用意する必要があり、電子署名のやり方にも慣れておかなければなりません。また、リモート方式を利用するための要件の一つに「公証人が嘱託人等のリモート参加を相当と認めること」というものがあり、この相当か否かの判断は、リモート参加の必要性のほか、リモートでの本人確認、真意の確認、判断能力の確認のしやすさ等を公証人が総合的に考慮して判断される、とされております。そのため、一般の方がリモート方式を利用するにはまだまだハードルが高く、特にパソコンの操作が苦手な方、身体に障害がある方、高齢の方にとっては現時点ではかなり難しいように思います(リモート方式が利用できない場合であっても、従来の作成手続で作成が可能です。)。
私どもの事務所においても、まだ始まったばかりの制度でもあるため、リモート方式を利用した公正証書の作成事例はありませんが、既に公正証書の電子データでの作成は始まっておりますので、証人として遺言公正証書の作成の場に立ち会った際などに電子データに電子サインする回数も増えており、押印が一切不要となった現状に、時代の移り変わりをひしひしと感じております。そう遠くない将来、たとえば電子署名の利用がもっと世間に普及されれば、リモート方式が当たり前となる時代もやってくるのではないでしょうか。
パートナーズ司法書士法人では、急速に進むデジタル化、それに伴う法律手続の改正に対応するために、日々、研鑽に励んでおります。デジタル化された遺言公正証書の作成手続だけでなく、もちろん従来の作成手続にも対応しております。相続・遺言に関してご興味がございましたら。ぜひ一度、弊社の無料相談をご利用ください。