何世代も前の相続登記は複雑!?家督相続とは??
近年、不動産の相続登記(名義変更)が大きな社会問題として注目されています。特に、何世代にもわたって相続登記が行われていない不動産は、手続きが非常に複雑になることがあります。
2024年4月1日から、不動産の相続登記は法律で義務化されました。相続が発生したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります。そのため、家族が亡くなったことをきっかけに、自宅の土地や建物の名義を調べる方も増えています。
ところが、調べてみると「亡くなった父の名義だと思っていた不動産が、実は祖父の名義のままだった」というケースは珍しくありません。このような場合、まず祖父の相続人をすべて確認するために戸籍を調査し、その相続人全員で遺産分割協議を行って、不動産を誰が取得するのか決める必要があります。そのため、通常の相続登記よりも時間と手間がかかります。
さらに複雑なケースとして、不動産の名義が曽祖父や曽祖母のままになっている場合があります。この場合は、相続人を確定するための戸籍調査が非常に広範囲になり、手続きが長期間に及ぶこともあります。
こうした問題は一見すると特殊なケースのように思えますが、実は日本では大きな社会問題となっています。いわゆる「所有者不明土地問題」です。2016年時点で、所有者が特定できない土地の面積は九州の面積を上回ると推計されています。さらに、このまま対策が進まなければ、2040年には北海道と同程度の面積にまで拡大する可能性があるとも指摘されています。
この問題の大きな原因の一つが、相続登記が何世代にもわたって行われていないことです。推計では、所有者不明土地の約6割が相続登記未了によるものとされています。つまり、相続登記を先送りにしてきた土地や建物は、決して珍しいものではないのです。
国もこの問題に対応するため、相続登記の義務化に加え、2026年4月1日からは住所や氏名の変更登記も義務化する予定です。また、民法や不動産登記法の改正など、さまざまな対策が進められています。
ところで、何世代も前の相続登記の手続きが複雑になる理由の一つに、「いつ相続が発生したか」によって適用される法律が異なる点があります。特に、1947年5月3日以前に亡くなった人の相続には、現在の民法ではなく、戦前の旧民法が適用されます。この旧民法では「家制度」という仕組みがあり、現在の相続制度とは大きく異なっていました。
当時の相続の特徴は「家督相続」という制度です。これは家の主人である戸主が亡くなった場合、原則として長男が家督を継ぎ、財産を単独で相続するという制度です。長男が家督相続人になった場合、配偶者や他の子どもは基本的に財産を相続できませんでした。
一方で、戸主以外の名義の財産については、現在と同じように複数の相続人で分ける「遺産相続」となります。つまり、同じ家族でも「誰の名義の財産か」によって相続方法が変わるのです。
例えば、曽祖父が戸主で、その財産を長男が家督相続していた場合、曽祖父の財産は長男だけが相続します。しかし、不動産が曽祖母名義で戸主の財産ではなかった場合は、子ども全員が相続人となり、その子どもやさらにその子孫へと相続権が引き継がれていきます。
このように、戦前の制度が関係する相続では、家督相続か遺産相続かによって相続人の範囲が大きく変わります。そのため、戸籍調査の範囲や手続きの内容も大きく異なり、専門的な法律知識が必要になることがあります。
もし不動産の名義が何世代も前の家族のままになっている場合は、手続きを進めるためにも早めに専門家に相談することが重要です。適切な調査と手続きを行うことで、複雑な相続登記も進めていくことが可能になりますので、ぜひ私たちパートナーズ司法書士法人にご相談ください。